Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
恐る恐ると顔を上げれば木戸さんはふぅと大きく息を吐いて真っすぐに私を見詰めた。
仕事の時に見る厳しくも揺るぎない視線に少々気押されながらもぐっと拳に力を入れて対峙する。
「話を改めると、美久は弟と付き合いたいから俺とは別れたいって事だな。」
「は…ぃ。」
「最初に言わせてもらえば、…美久は勘違いしてると思うぞ。」
「かん、ちがい…?」
「そう。弟を好きってのは勘違い。それは恋愛感情じゃない。」
……恋愛感情じゃ、ない?
「アイツが美久をとても大切にしてきたのはなんとなく分かってるつもりだ。それだけ優しくされ続けてきて、美久がアイツに好意を抱くのも絶対の信頼感を持つのも分かる。だけどそれは恋愛じゃないだろ。」
「で…でも、あの…」
「一番身近に感じてる相手と離れるには誰だって躊躇するもんだ。俺と付き合う事で彼が離れていくと不安になる気持ちも分からなくないが、不安だからって弟といるのは親離れ出来ないコドモと一緒だぞ。」
確かに私、悠里に対して絶対の安心感とか信頼感を持ってる。
だけど…だけど………
私はぎゅっと拳を握りしめる。
「どうして…みんなして…、私の気持ちを勝手に決め付けるんですか。」
伝わらない気持ちがもどかしくて、思わずキッと木戸さんを睨んだ。
「確かにずっと弟だとしか思って無くて、そんな私がいきなり好きとかいっても勘違いに見えるのかもしれないけどっ………。」
勝手に私の気持ちを偽物だなんて言わないでっ。