Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
頷く私に木戸さんはふっと笑った。
私がミスをした後に怒って、その後見せてくれた笑顔。
「俺を振るんだから、アイツにこれ以上ナイ程幸せにして貰えよ“柏木”。」
私に「次は頑張れ」って言ってくれた笑顔。
最低な私を罵る事もしないで、私の背中を押してくれる。
木戸さんはやっぱり優しくて大人でステキな人だ。
そんな彼を傷つけるしか出来ない自分が不甲斐なくて涙が出そうになるけど、彼の前で泣くのはそれこそ最低だと思うから、深く頭を下げるだけして勢いよく駆けだした。
だから屋上を飛び出した私と入れ違いに遮蔽物の影からのこのこと出てきた人物との二人の会話を知るよしもないワケで―――
「あーあ。木戸さんって本当にバカが付くほど潔いなぁ…どうせ最後なら思い切って駄々捏ねてみたら良かったじゃないっすか。」
「っ…川端。……隠れて聞いてるなんて悪趣味だぞ。」
「人聞きが悪いっすね。俺がマッタリ休憩取ってる所に来ていきなり修羅場りだしたのはお二人でしょーが。」
炭酸のペットボトルを軽く振って見せながら木戸さんの傍まで来た川端君は柵に背中を預けて凭れた。
「で。ヨカッタんスか?あんな簡単に手放しちゃって。結構本気だったんっしょ?」
木戸さんは内心で、簡単じゃなかったよ、と呟きながらも、フッと苦笑いを浮かべる。
「最初から結果は分かり切ってたからな。それでも何もしないまま諦めたくなくて俺なりに精一杯足掻いてみたつもりだ。それでこの結果なら仕方ない。」
「そっすか。」
そんなあっけない同意を最後に会話が途絶える。
木戸さんが視線を空に移す。