Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
暗黙の了解で身体の関係を目的としたような出会い系サイトに事もあろうか『柏木美久』の名前が載っている。
ネットの性質上、保身を考えて大抵はぼかすプロフに、堂々と勤務先まで載せて。
「先ほど店前をうろちょろしていた男に同じ穴のむじなを装って聞きだしたんすよ。」
冷やかし達の正体を知った。
こんなサイトで誘いを掛ける好きモノを拝みに来た暇で下衆な野郎共というワケだ。
「今すぐ削除しなさいよ!」
「承知してますって。…だけど、手ごたえからしてupされてるのはこのサイトだけじゃねっすよ、多分。」
絶望的な事実に二人は歯噛みする。
唯一掬いだったのは、そのプロフに写真が乗せられてなかった事か―――。
いきなり身を翻しバックヤードから舞い戻ってきた麗那を見て川端が慌てる。
「ちょ、麗那さん…っ。それは流石に容認しかねるっすよ。」
「ウルサイッ!!ともかくこの事を相良さんと木戸さんに連絡して。会議だかなんだか知らないけど社員の一大事なんだから協力させるのよ!アンタは引き続きサイトを探して削除しなさい!!」
「り、了解っす!」
一喝に川端がビシリと敬礼するのを見届けて麗那はフロアへ勇ましく進んだ。
―――『柏木美久』のネームプレートを胸に付けて。