Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩

通りすがりに僕の手元を覗いて「ぅお?」と奇妙な声を上げる。


「なんすかそれ、……激似っすけど。」

「ふふ。どう?自信作。」


僕が今粘土細工で作っているのはフィギア。


「そう言えばさっき―――」


そう言って幸村さんが親指で差した扉が開いて久寿軒さんが姿を現した。


「柏木さん。」


僕を見付けて嬉しそうな顔でいそいそと入ってきた彼女は視線を落とし僅かに眉を顰めた。

彼女の視線の先にあるのは僕の左手薬指に燦然と輝く結婚指輪
(籍は入って無いから婚約指輪かも?と言うのは秘密だけど)

もはや僕と美久の関係は壊れた筈なのに……何故?
と信じて疑わない彼女は少々残る疑念を振り払うように笑顔を浮かべて見せた。


「決定まで為された作品をやり直しさせてしまって、柏木さんには大変ご迷惑をおかけしましたわ。でもそのお陰でとっても良い物が出来て、社内でも好評なんですよ。量産が俄然楽しみですわ。」


それに応えたのは僕ではなく須藤。


「ああ、全くです。久寿軒さんの仕事に対する拘りの姿勢には感服致しますよ。」


シニカルな笑顔といえども普段の仏頂面と比べればかなり愛相は良く見えるけども、傍で聞いている久保塚君なんかは『厭味~…』と思っていそうな顔つきだ。


「それより……、コレ如何です?」


僕は次の話題に入る前に今作っているフィギアを彼女に差し出した。

途端に赤味が差し煌めく彼女の表情。


「まぁ!ひょっとして私、ですか?凄い、流石柏木さん。」


< 222 / 333 >

この作品をシェア

pagetop