Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩

驚いた私に驚いたように悠里もびくっと飛び跳ねる。


「…び、びっくりしたぁ。そんな所に居るとは思ってなかったから。どうしたの?コンビニでも行くつもりだった?」

「えっ!?あ、いえ…あの……」


何故かあわあわとうろたえだした悠里は、暫くして観念したみたいにはぁぁと溜息を吐いて身体を竦めた。


「スミマセン。帰ってきたら姉さんがまだ帰ってなくて。遅くなるってメールは見たんですけど……思ってたより遅くてちょっと心配になって……」

「えっ!わぁ、ご、ごめんね?心配させるほど遅くなっちゃって。」

「いえっ、姉さんだって大人の女性なんですから。僕が過剰に心配し過ぎたんです。スミマセン。」

「いえいえいえ。コチラこそいつまでも心配の絶えない姉でゴメンナサイ。」


埒のあかない謝罪合戦に顔を見合わせ互いにぷっと笑う。

まだ拭いきれない隔たりがこんな状況を生み出すのか、以前の悠里とは無かったシチュエーションは逆に新鮮。

それはそうと心配してくれた事が単純に嬉しい。

ちょっと過保護だった以前の悠里みたいで。


「所で悠里は意外に早かったの?…今日デートだったんじゃないの?」


リビングに向かいながら、さりげなく聞く。

別に探りを入れてるワケじゃないの、姉として何気ない会話をしてるだけ。

そんな誰に言っているか分からない言い訳を心の中でしながら。


「え?…違いますよ。今日は須藤と呑んでたんです。色気も減ったくれも無い居酒屋です。」


そんな返事にほっとして、「姉さんは?」という質問に気楽に答えた。


「木戸さんとちょこっとご飯食べて夜景を見て来たの。」
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