Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩

訝しがる二人に悠里は蕩けるような笑みを浮かべて見せる。


「確かに、本来姉さんの憂いはたとえ悪夢といえども許しませんけどね…。昨日はうなされながら僕を呼んでたんです。行かないで、だなんて。ふふ…僕が姉を置いてどこかに行くはずも無いのに。どんな夢かは知りませんが、夢の中でも僕を必死に求めてくれてるなんて、幸せ過ぎです。そんな姉さんが一途で愛らしくて……」


まぁ…なんて平和な人だろう…。

うん。まぁ、それで機嫌よく仕事を最速でこなしてくれるならイイか…。


須藤も久保塚も賢明に口を噤んだ。



☩ ☩ ☩


一方、こちらは『NANATORI』


「アンタ、今日はどうしたのよ。弟と喧嘩でもしたの?」


麗那が怪訝な顔で訪ねる。

その日、美久は支障なく仕事をしているものの、その表情は見るからに暗かった。

滲み出るオーラは泥沼のように重い。

客の出が少ない時間帯だったので、他の従業員も仕事をそっちのけに揃って美久を伺う。


「…え~と……実はちょっと嫌な夢を見ちゃって…。」

「「「は?夢?」」」


うん、と頷いて美久は昨日の夢について話だした。



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