【短編】友達彼氏
「牧瀬、」
ぎゅ
更に、つよく握る。
冬なのに、手が、少し汗ばんでいるみたいだ。
私は牧瀬の顔を見上げたまま。
今度は牧瀬がこっちを向いても、反らしたりしない。
もっと、一緒にいたい。
自然と、足が止まる。
それと同時に、私たちの視線は重なった。
まるで時間が止まったみたい。
ゆっくりゆっくり見つめあう。
この傘の中と外とでは別世界のようだ。
私達を包む空気が、きらきらしている。