【短編】友達彼氏
「お前ら、遅刻すんなよー」
加藤が冷やかな目でそう言い残し、すたすたと足早に歩き出した。
あ、そっか。
自分の世界に入り込むあまり、時間のことを考えていなかった。
加藤って、何気にいい人だよな。
ぎゅ、
私の手の上に乗せられた大きな手が、不意に私の手を包み込んだ。
なんで牧瀬の手って、こんなに温かいんだろう。
「・・・いこ、成美ちゃん」
牧瀬が私の手を引いた。
びっくり、した。
よろける足で、半歩先を歩く牧瀬の後を追いかける。
この角度から見る牧瀬も、新鮮だ。
どくん
どくん