もう、明日がないなら…
 翌日、雄哉が家政婦に暇を与えたため、美妃が朝食の準備をするために、白
いガウンを羽織った姿のまま、キッチンに立っていた。

 雄哉とこうしてモーニングコーヒーを飲むのは何度もあったが、今日は特別だった。

 薬指に光る指輪。嬉しくて、彼女は何度見ては、微笑んでいた。

 午前九時過ぎに彼がシャワーを浴びて仕事に出かけると、美妃は外出するために、支度を始めた。夕飯とケーキを作るための買い出しに行くためだ。

 出かける前に、と始めた家事に時間を取られ、十一時ごろ屋敷を出た。彼女の足取りは軽かった。軽くランチを済ませた後、いつものスーパーで食材を選ぶ。

(ちょっと買いすぎちゃったかな…?)

 レジでついそんなことを考えてしまったが、相変わらず彼女の顔は締まりがなかった。

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