もう、明日がないなら…
四 追憶
 誰も口を開くことなく、車はやがて大きな通りに合流していた。片側3車線の一般道だ。あの家にきてから、あまり出歩くことがなかった美妃には、今どこを走っているのか全くわからなかった。

「喉が乾いたわ」

 佳美が不意に口を開くと、雅臣は左の車線に移動する。それから間も無く、コンビニの看板が目に入ると、左ウィンカーを出して、駐車場に滑り込んだ。

 車が止まると、彼女はすぐに車を降りた。それに続くように雅臣もドアを開けるが、美妃はそのまま座っていた。

「何か飲みますか」

 彼の問いかけに、美妃は無言だった。彼はそんな彼女を車に残し、ドアを閉めた。

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