もう、明日がないなら…
『僕のオススメは、ウニのクリームパスタです』

 また聞いてもいないのに、雅臣からメールで逐一情報が入ってくる。そばにいるなら、直接現れればいいのにと、イライラしていた美妃だったが、その情報を無視することはできなかった。だから、余計に腹が立つのだ。

 ところが、彼のオススメメニューが目の前に並ぶと、あの苛立ちは一気に何処かへ消えてしまっていた。



 お腹が満たされ、つい幸せに浸っていると、また"指令メール"が届く。美妃は顔をしかめた。

『まだ時間は、たっぷりあります。今度は腹ごなしにちょっと歩きましょうか』
 彼のメールを読み終えると、美妃はアイスコーヒーにささるストローに口を付けた。

(…いうことを聞く必要なんてないよね)

 しかし、なぜ彼はそこに彼女を行かせたいのか、気にはなっていた。
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