瑠璃一味のお戯れな学園生活
奴の言葉には耳を貸さず、二人は走った。

振り向きもせず、立ち止まって様子を見る事もせず。

ただひたすらに走る。

振り向いたら終わりだ。

互い言葉を交わす事もなく、野菊と咲花は無言のままでそう悟っていた。

自分達を追ってくるあの人物が、知っている者なのは分かっていた。

黒爪。

シンや瑠璃、龍之介やめのうと交戦した吸血鬼。

そんな事は分かっている。

振り向いてはいけないのは、黒爪を見た瞬間に、感じている恐怖が更に増幅されてしまうから。

大きすぎる絶望に完全に心を折られ、諦観に支配されてしまうから。

無意識のうちにそう感じていた。

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