男になりたい女と女嫌いな男
廊下を半分ほど拭いたあたりで声をかけられた。
「頑張ってるねー。バケツの水、かえてあげるー」
友季の取り巻きの誰かだろう。
俺は何も言わず雑巾を動かし続けていた。
「あ、ごめーん」
取り巻きはわざとよろけた振りをして水をこぼした。
バケツの灰色の水が少し腕についた。
取り巻きはちょっとよろけたつもりだったらしいが
後ろから誰かに強く押されたように大きくバランスをくずした。
ぐらりと揺れるバケツ。
俺が目を閉じたと同時に
バッシャーーーン
全身に、冷たさが走った。