男になりたい女と女嫌いな男
頬を伝う、灰色の雫。
鼻につく、嫌な臭い。
バケツの水を身体全体に受けた俺は
しばらくの間顔をあげることが出来なかった。
髪から水をたらしながらゆっくりと顔をあげると
目を大きく見開いた取り巻きと
薄ら笑いを浮かべる友季が目に映った。
「違う…純、わたしそんなつもりじゃ」
空のバケツを持ったまま取り巻きはわなわなと震えている。
その後ろで友季が得意げに笑って言った。
「わぁ、バケツの水をかぶっちゃうなんて、きったなーい。
わたしの上履きが汚れちゃいけないからちゃんと拭いといてね」
そして俺の耳に顔を近づけ、そっとささやいた。
「よろしくね、純ちゃん」
友季は震える取り巻きを連れてどこかへ行った。
俺はしばらく、その場から動けなかった。