男になりたい女と女嫌いな男
目を見開いて驚いた様子の友季。
その目が腕を押さえた相手に向けられると、さらに大きくなった。
「翼、くん・・・」
俺に殴りかかろうとした友季の腕を止めていたのは、加賀美 翼だった。
突然の事態に俺は言葉を失った。
友季も「翼、くん・・・」と言ったきり、黙り込んだ。
「ねぇ、もうやめよう。俺、もう耐えられない」
翼の声は少し震えていた。
しばらくの静寂のあと、誰かが口を開いた。