オレンジ色
家に帰るなり部屋へダッシュして、部屋の扉を閉めた。
すっかり暗くなった外の景色に浮かぶ街灯の明かりが眩しくて。

オレはまた、泣いた。

泣いても泣いても全然胸の苦しさは取れなくて、ドアの前で限界まで泣いて。

最後は笑いが零れるほどに、オレの心は砕け散ってしまっていた。


このままオレの記憶の中の祐也の姿も一緒に砕ければよかったのに。


それでも、瞼の裏に、祐也の顔が浮かんだまま消えなかった。



「シン、昨日どうだったんだ?」

 学校に着くなりカズが言った言葉はそれだった。

オレは何も返答しないで机の横に鞄をかけて、横を向いて席に座った。

「どうも、何も。見てわからない?」

 言いながら目を指で指せば。

「・・・悪い、気づかなかった」

 カズがそう言って目をそらした。

 オレの目はすっかり腫れ上がってしまっていて。

昨日誰かに殴られたんじゃないかってぐらいどうにもならなくなってた。


 教室の端の方にいた相沢にもその会話は聞こえていたみたいで。

それまで明るく教室に響いていたはずの相沢の声も、途中で聞こえなくなった。

「あんま、話したくない?話せれば、どうなったのか、聞きたいんだけど」

 カズがおどおどしながら聞いてきたので、

「いや、もうすっきりしたっていうか。泣いたら気が済んだから、大丈夫だよ」

 本当にそうなのかはわからなかったけど、オレは答えた。


 オレは昨日の出来事のすべてをカズにその場で話した。

途中オレが泣きっぱなしだったこととかは、あまりに情けないような気がして省いたけど、それでもカズは何も言わずに黙って聞いててくれた。

 全部話し終わるころ、

「・・・それって、フラれてないんじゃ」

 カズが言ったのはそれだった。
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