オレンジ色
 祐也の手がオレの頭のちょっと上で止まったような気がして。

 顔も見ないまま。

 涙ももう止められないまま。

 

「お前が好きだ」

 

 小さく、つぶやいた。

 言った瞬間、やっぱり予想通りに涙は余計にボロボロ出てきて、どんなに制服でこすっても間に合わないくらい、息も苦しくなって、唇を噛みしめて、声を消した。

 祐也は、どんな表情をしているだろう。

 驚いているのか。
 それとも気持ち悪がってる顔してるのか。
 苦笑いしているのか。
 唖然としているのか。

 どれも想像したら余計に悲しくなって。

 唇が切れるほど、噛みしめた。

「シン、今の、それって、」

 絶え絶えに聞こえた祐也の綺麗な声。

「・・・ごめん、気持ち悪い、よな、意味わかんないよな」

 オレの言葉も、もうまともに喋れていなくて。
 なのに祐也が。

 オレの頭を、優しく撫でた。

 そして。

「ノート、書いてきたから、受け取って欲しいんだけど」

 そう言って下を向いてるオレの顔の前にノートを滑り込ませてきた。

片方の手で涙を拭いながら、もう片方の手でそのノートを受け取って、何も返答のなかった祐也の返事は、やはり想像通りだったんだと、勝手に理解した。

 オレは立ち上がって、しっかりと涙を拭いたつもりで、祐也に向き合った。

「・・・ごめ、オレ帰るね」

 それだけを言って、走ってその場を立ち去った。
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