生まれたての放課後。
────このときの、“茶倉になら”の意味は、分からなかった。
だけど、わたしが期待するような意味は、たぶん含まれていなかったと思う。
誰かに話して聞いてほしかったのかもしれない。
わたしなら茶化すことも、他の誰かに話すことも、しないって思ったのかも。
「きいてくれる?」
そう尋ねた宏くんは相変わらず、ひどく、儚い顔をしてた。
もろくてさむそう。
消えてしまいそうだった。
きっと宏くんはこごえていた。
「うん」
それだけ言って頷いて、彼の白い息と一緒に吐き出される、彼のくろくてにがい、昔話を聞いた。
中学3年生の頃の話。
今よりずっと子供で、なにもかもが、自分の手ではどうにもできなかったころの話。
下手くそな恋の話だった。