生まれたての放課後。
しろくてやわらかい雪が、不安定に落ちてくる。
ふわりふわりと、舞っている。
「うそ言ってごめんな」
マフラーに守られながら、冷たそうな空を少し見上げて、宏くんは口を開いた。
またわたしの歩く速さに合わせてくれている。
やっと見えた表情は、変わらない。
あのときのままだ。
1年前の今日みたいな冬、教室から外を眺めてたときと一緒だ。
寂しそうで、凍えそう。
わたしは「うん」だか「いいよ」だか分からない言葉をマフラーの下でちいさくつぶやくだけで、他になにも言えなかった。
どういうことか、聞けない。
なにがあったのか、踏み込めない。
「………茶倉になら、いいかもなあ」
落ちてきた雪を、あたたかい声でふわり、溶かしながら。
宏くんは言った。