クール女子と大泥棒が恋すると、
「伊緒、伊緒……」
俺は伊緒を強く抱きしめた。
「……ちと…………せ……」
弱々しく俺の名前を呼ぶ伊緒。
抱きしめたまま、伊緒の柔らかい髪を優しく撫でた。
「……千歳……大丈夫……?」
「は……?」
俺は思わず伊緒の顔を見た。
「大丈夫?」だって?
聞きたいのはこっちだ。
「熱……あがってない……?」
なんで…………こいつはこんなにも自己犠牲的なんだ…………
「ああ。大丈夫だ。」
「良かった……」
自分に今起きたことを全く気にしてないかのようにくしゃっと笑った。
「ちょっとまってて。」
伊緒をそっと寝かせ、倒れている男の元へ向かった。