今日は何する?
クリスマスデートしよう。

キリスト教徒でもない人々が、クリスマスの意味も知らずに盛り上がる今日。
ぶっちゃけ、何教徒でも気にしない日本人。
キリスト様が生まれて来た日だからお祝いしようとか、関係ない今日。


----恋人達にとっても、そんなの全然関係ない。


町中に溢れるカップルたちの間を通り抜けたくなる衝動を抑え、なんとか待ち合わせ場所にたどり着いたアヤネは、既に疲れていた。

(やばいなー、人に酔ってしまった……)

目の前を歩く女の人は、冬の寒さなんて感じていないらしい。
だって、短パン履いてる。しかもマフラーしてない!

(見てるだけで冷えるわー)

こっちはマフラーに手袋、耳あてにニット帽まで完備してるのに寒いんだから!!
冬は嫌いなアヤネです。

(春は大好きなんだけどな。冬は大好きになれないんだよね)

……まぁ、無理に好きになる意味も無いのだが。

「アヤネっ!」

と、向こうから走ってくる男の人が。

「……10分遅刻かぁ」
「すみませんでした」

カケルを見ると、走ってきたのか、この寒い中少し汗ばんでいる。
そのくらい必死になってくれたなら、よしとするかな。

「いいよ。せっかくのディナーなんだから、楽しく行こ」
「本当にごめんな」
「いいって」

珍しくレストランを予約してくれたらしく、今日はイルミネーションを見てから2人で食事。
カケルがいると、気持ちも体温もちょっとだけ上る。

「ほら!いこー」

そう言って手を差し伸べると、笑いながら握ってくれる。

「今日は一段と寒いね」
「雪でも降るんじゃない?」

なんて、何気ない会話が途切れることなく続く。
アレが綺麗だとか、コレが好きだとか、お互いのことをちょっとずつ分かってくるけれど、やっぱり分からないことだらけだって思う。
カケルは過去に彼女がいた。
別にそんなの普通だし、いない方が珍しい。
だからその彼女がどんな人で、どんな性格でとか知りたいわけじゃないんだ。

「じゃー、もうそろそろレストラン行こうか」
「うん」

----でもね、一つだけ知りたいことがあるんだ。


「景色いいねー」
「よかった。喜んでくれて」

笑うと子供みたいにかわいい。
って、出会った時から思ってたけどやっぱりカワイイ。
私が喜んでることを、まるで自分のことみたいに喜んでくれる。

「カケルは何食べるの?」
「俺は……ビーフシチュー」
「じゃー、私はビーフハンバーグで」

女の子なんですが、肉やら炭水化物がすきな私。
一応食べたら運動しているんですが、ちょっとポッチャリです。
と、そんなこと考えている間に、カケルの様子がおかしくなっていました。

(……)
「ゴホッゴホッ!」

なんか、おかしいな?

(……。)
「な、なんか、顔についてる?」
「いや」

なんだ?
なんだろうかこの違和感。
いつもより、一割り増しソワソワしてる気がするなー。

と、この絶妙なタイミングで料理が登場。

「うわー、おいしそう!」

カケルに抱いていた違和感なんてどこかへ吹っ飛ぶほどおいしそうだ。

「メッチャ旨い
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