こんな能力なんていらなかった—鳥籠の中の鳥は愛を詩う—
「今日は外にでちゃいけないって何度も言っておいたでしょ!!!」
「ごめんなさい!」
お母さんに座りなさいと言われて腰をつけた地べたで素早く頭を床にぶつけると、ゴン!と音が響いた。
家の床は木製のはずなのに、かなり痛い。
額を押さえて呻くとお母さんは呆れたような溜息をついた。
「明日は外にいってもいいのに……なんで一日くらいジッとしておいてくれないの……」
お母さんは、心臓止まりそうになったわ……と呟いた。
「ごめんなさい……」
しょぼんとしたまま告げると、お母さんはフィリアムに覆いかぶさるようにして抱きしめた。
「もうすぐで、お父さん帰ってくるから……そしたらいつでも外に行ける場所に行くから……もう少しだけ我慢して?お願いよ」
フィリアムはお母さんに抱きしめられたまま頷く。
「ああいい子ね、大好きよフィオ」
「私も大好き……」
そう答えた瞬間に、外が俄かに騒がしくなった。
お母さんは咄嗟にフィリアムの耳と目を塞ぐ。
「息を潜めて、動かないで……そういい子ね」
耳が塞がれていると言えど、少しは聞こえてくるわけで。
お母さんの指をすり抜けて耳に入ってくる怒声と悲鳴に、フィリアムは顔を歪め母の背中に手を回す。
この騒音が何故起きているのか分からない。けれど、怖い。
「大丈夫よ、私がついているわ。貴女のことは絶対に守ってあげる」
フィリアムは何も返事を返せなくて、黙って腕に力を籠めた。
そのままどれだけ時間が過ぎただろう。
いつの間にか眠ってしまったようで、フィリアムが気付いた時にはベッドの上にいた。