誠の華
「…よし。これでいいだろう」


包帯を巻き、狼の頭を撫でると
クゥンクゥンと鳴き山崎の手を舌で舐めはじめた。

「くっ……くすぐったいぞ」

頬を緩ませ、くすぐったそうに肩をすくめた。
その時、突然狼がや山崎を守るように
立ち上がり、牙を剥き出し毛を逆立て低く唸り
威嚇した。

どうしたのか、と思った時、
人の気配を感じ杖の中に隠していた太刀を
取り出し鞘から抜いた。

―ガサガサッ


音をたて、現れたのはヨレヨレの袴を履く
山賊と呼ばれる男達だ。
山崎は眉間に皺を寄せた。

どうもいい雰囲気はしない。

どうやら山崎が持っている金目の物を狙っているようだ。


「おい。そこのお前。
持ってるもん全部置いていきな」

「生憎だが、その提案には納得できない」

「てめぇ……」


挑発するように刀の切っ先を男達に向けると
ニヤリと口角を上げた。
その挑発に乗った男達は刀を鞘から抜き

「やれぇ!!」

一人の掛け声と共に男達は山崎に刀を向け
殺気を放ち地面を蹴りだした。



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