シュシュ~番外編①~
「「美織」」

二人同時に、私の事を呼んだ二つの声。

私は振り返る事はしなかったが、その場で足を止めた。

私を追いかけてきたのは、大泉社長と、龍之介。


「こんな街から外れたレストランですよ。

一人で帰すわけにはいかない。お送りしますから、

私と一緒に帰りましょう」

優しい声色で、そう言った大泉社長。


「美織、不本意だが、コイツの言う通りだ。

こんな所から、一人で帰せるわけがない。

オレと一緒に帰ろう」

いつもの調子で、やや怒った口調の龍之介。

龍之介に悪気はない。私を心配するが故に、そんな口調になる。



「・・・」

私は、黙ったまま振り返り、2人を交互に見た。


「「美織」」

またしても、2人の声が重なる。



「…送ってください」

そう言った私は、俯き加減で一人の前へ。


その結果に、驚きを隠せない。
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