Bussiness Trip

二人が研修会場につくと、郷野が「おはよう」と近づいてきた。
今日もぷんぷんと香水の香りをまき散らしながら、ちらちらと視線を送ってくる。

「あれ? 何かあった? お二人さん、様子が変だけど?」

「べつに」

二人で同時に答えて、思わず顔を見合わせる。

「息、ぴったり。もしかして、あの後、二人で?」

それ以上何も言わせないとばかりに、二人が同時に、郷野の話を遮る。

「何言ってんですか」

「そんなこと、あるわけないだろ」

その場に流れる険悪なムードに、さすがに気がついて、

「まあまあ、落ち着いて」

郷野はすごすご退散した。
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