砂漠の夜の幻想奇談

盗賊。

カシェルダの頭にその単語が浮かんだ。

「姫、しっかり私に掴まっていて下さい」

ラクダの足止め用の罠があるということは、近くに賊が潜んでいる可能性が高い。

カシェルダは警戒しつつ道を変えよとしたが、遅かった。


「待てコラぁ!!」

「逃がさねぇぞ!」


どこに身を隠していたのか、賊が次々と現れた。


「ちっ…」

舌打ちと同時にラクダを走らそうとするが、間に合わず。

二人は盗賊の集団に囲まれてしまった。


「引きずり落とせ!」

リーダー格の男が叫ぶ。

一斉にカシェルダの足に掴みかかる盗賊達。

「放せ!」

カシェルダは短剣を抜いた。

長い足で敵を蹴り飛ばしつつ刃を振るう。


しかし――。


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