砂漠の夜の幻想奇談
サフィーア達の足音が遠ざかる。
「行ったか…」
やれやれといった風にカシェルダは小さく溜息をついた。
「騒がしくしてすまなかったな。バキータ」
彼は穏やかな声で目を光らせるホワイトタイガーに話し掛けた。
檻の扉を開け、中に入る。
「さっきの演技は上手かったぞ」
近寄って頭や顎を撫でてやれば、バキータは喉を鳴らして目をつぶった。
先程までの荒れっぷりはどこへやら。
とても気持ち良さそうだ。
「バキータ、何があったんだ?昔から気性は激しかったが、今のお前は…何かに怯えているようだ」
静かに問えば、バキータは悲しげに鳴いてからゆっくり方向転換し、カシェルダに背中を見せ丸まった。
「バキータ?」
行動の意味がわからずバキータの白い背中を撫でる。