砂漠の夜の幻想奇談


 昼間は灼熱地獄だが、夜は一気に冷え込む。

横たわったせいか体温が下がり、サフィーアは小さく身震いした。


(私、いつまでここにいるのかしら…)


故郷の話題が出て、懐かしく思った。


(父上、母上……心配してるわよね…)


黙って出て来てそれきりだ。

恐らく王宮内は姫が消えたとパニック状態だろう。


(ごめんなさい。いつになるかわからないけど、絶対帰るから。父上、母上、お元気で…)


寝台の中で祈るように目を閉じる。

と、その時。


「おや?もう眠ってしまったかな?」


聞こえた声に跳ね起きた。

キョロキョロと部屋の中を見回すと、窓辺に人影を発見。

月明かりを頼りに顔を確認し、目を見開く。


(シャール!?)


ダハナシュかと思いきや、窓から部屋へそっと侵入して来たのはシャールカーンだった。


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