砂漠の夜の幻想奇談


(シャール!!死なないよね!?大丈夫だよね!?)


苦痛に呻くシャールカーン。

大丈夫と言っていたが、強がりなのは見ればわかる。

「王子!お医者様が来るまで我慢して下さい!今侍女が呼びに行っておりますから!」

「うっ、あぁ……」

唸りながらも王子が頷いた時だった。


「一体何があった!シャールカーンが怪我をしたと侍女達が…!」

タイミング良くカシェルダが部屋に入ってきた。

この騒ぎに気づき戻ってきたのだろう。

「これは…」

寝台に近づき傷を見つめる。

「………刀傷ではないな。獣の爪か?」

サフィーアが頷くのを見て、カシェルダはハッとした。

「サフィーア姫!お怪我は!?」


(私は大丈夫よ)


「怪我はない」とジェスチャーで伝えるとカシェルダはあからさまにホッとした。

「カ、シェ…ルダ…」


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