砂漠の夜の幻想奇談
「サフィーア!」
シャールカーンが追いついた。
階段を駆け上がったせいで息切れの酷いサフィーアとは対照的に、彼は呼吸を乱すことなく喋り出す。
「一人で突っ走っては危ないよ。カシェルダもいないんだから、もう少し慎重にね」
(あう…ごめんなさい)
反省するサフィーアの頭を撫でつつ部屋を見回す。
「で?君達は誰だい…?」
「お前こそ誰だ?」
背の高い長男がシャールカーンを鋭い目つきで見下ろした。
「あー!!この人覚えてる!前に砂漠で会ったよ」
突然の大声に皆がドキッとする中、コスティがシャールカーンに指を突き付けた。
「会ったかい…?見覚えがないけれど…」
まじまじとコスティの顔を見つめるが思い出せずに困惑する。
そんなシャールカーンに末っ子王子は笑顔で言った。
「うん!ボク達その時ガチョウだった」