砂漠の夜の幻想奇談
「ありがとうございます、王妃様」
「ふふ、いいのよ」
シャールカーンが行ってしまうとルステムは顔を上げ、床に胡座をかいた。
「まず初めに、サフィーア姫。街でのご無礼をお許し下さい」
座ったまま深々と頭を下げるルステム。
サフィーアは「気にしないで」と書き、ラテン語のできるアブリザを通してそれを伝えた。
「ありがとうございます……。では、本題に入らせて頂きます」
改まった調子で口を開く。
「僕はルステムと申します。ノーズハトゥザマーン姫付きのマムルークです」
(マムルーク?)
聞き慣れない単語に疑問を抱くサフィーア。
顔に出ていたのか、気づいたアブリザ王妃が簡単に説明してくれた。
「マムルークは白人奴隷のことよ」
(白人奴隷!?)
「その通りです。僕は王様に買われ、姫の身辺警護を任されました」