砂漠の夜の幻想奇談

「行こうかジェドラーン!ハッ!」

愛馬に呼びかけ手綱を握る。

賢いジェドラーンは主人の意思を読んで賊の大将に突っ込んでいった。

「はああああー!!!!」

気合いを込めながら得物を構える。

すると、敵もこちらに向かって剣を突き出してきた。

「くっ!」

腕を狙われたが、間一髪で避ける。

「ハッ!!」

続いてシャールカーンが相手の顔目掛けて刃を振るった。

そして――。


ハラリ、と敵の顔に巻かれていたターバンが落ちた。

「っ!?」

人相がばれることを恐れてか、慌ててラクダを方向転換させ逃げ出そうとする敵将。

「待ちなよ!!」

後を追いかけながらも、シャールカーンはちらっと周りの様子を確認した。

トルカシュやその他の近衛兵達が他の賊を始末している光景が瞳に映る。


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