砂漠の夜の幻想奇談
「はっ!ならお返しっ」
読んでいたのか、ミロンは白のポーンを動かして、今ビショップを取ったばかりの黒のポーンを取ってやった。
「ああ!取られてしまいました!」
「良いんだよ。道が開けた。クイーンを前へ」
黒のクイーンが一気に白へ攻める。
ポーンを前に出すも、さらに迫ってきたクイーンのせいでミロンのキングは斜め前へ逃げるはめに。
「ルークを横へ」
テオドールが指示通り指した直後、ミロンは息を呑んだ。
「チェックだよ」
不敵に微笑むシャールカーン。
追い詰められたと悟り、どうにか回避しようとキングを逃がす。
「くっそ!」
「ふふ、ナイトを進めて」
この後は何度もシャールカーンによるチェックが掛かった。
ギリギリで逃げ回っていたミロンだったが…。