砂漠の夜の幻想奇談


 王と王妃の遺体は白い布をかけられ台座に寝かされていた。

広間には大臣、その他の高官や多くの臣下、それからオマル王の妻達が集まっている。

「シャールカーン王子!」

一番に呼び掛けてきたのは大臣ダンダーンだった。

「王子、このようなことになり、真になんと申し上げれば良いか…」

「ダンダーン…。父上と母上は、なぜ亡くなったんだ?昨日は元気だった。病ではないだろう…?」

「それが…」

口ごもるダンダーン。

なかなか先を言わない彼にシャールカーンは苛立ちを覚えた。

「なんだ…?ハッキリ申せ」

「はい…。実は、オマル王様は…弑逆(シイギャク)されました」

「弑逆!?殺されたというのか!?」

「はい。しかも……恐れ多くも、弑し奉った犯人ですが…」

シャールカーンの顔色が変わる。

「わかっているのか!?」

問えば頷いた大臣に、シャールカーンは詰め寄った。

「誰だ!?一体、誰が父上を…!?」


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