砂漠の夜の幻想奇談

「………アブリザ王妃様です」


「……え…?」


シャールカーンの動きが止まる。


「申し上げます!アブリザ王妃様が、オマル王様を弑し奉った犯人でございます…!」


「なっ………!?」


シャールカーンは目を丸くし、傍で聞いていたサフィーア達も息を呑む。


「嘘だ!!戯れ言を申すな!!大臣貴様!殺されたいか!!」

「戯れ言ではございません!」

「母上はそんなことしない!!人を殺せる方じゃない!!」


母親を侮辱されたことで興奮するシャールカーン。

そんな王子の怒りを静めるべく、ダンダーンは証拠の紙を差し出した。

「こちらはアブリザ王妃様の遺書です。お読みになれば真実をお分かり頂けるかと…」

シャールカーンは紙を引ったくり、急いで文章に目を通した。


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