砂漠の夜の幻想奇談

と、一人の大臣がゾバイダ王妃の前で深々と頭を下げた。

「王妃様…やはり私は、シャールカーン王子を支持致します…」

「っ!?」

勇気を出して一人が言い出すと、次々に大臣達は手の平を返していった。

「あの…私も…」

「申し訳ございませんが、私も」

「な…!大臣方…!」

驚愕するゾバイダ王妃を見てフェトナー様はニヤリと笑う。

「これで決まりだな。シャールカーン!」

「はい、叔母上」

呼ばれ、フェトナー様の前に進み出る。

「お前の王位継承権を回復させよう。ダンダーン、手続きはできるな」

「手続きも何も、賛成反対の多数決を取ったのみにございますゆえ、まだ文書として作成しておりませんから、フェトナー様のお言葉で十分です」

恭しく説明するダンダーンに満足そうな笑みを向けると、フェトナー様は甥っ子に向き直った。


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