砂漠の夜の幻想奇談

心境の変化を問われ、サフィーアの耳がポッと赤くなった。

それに気づいたカシェルダが「おや」と声を上げる。

「あ、えっと…そう!兄上達を探すなら色んな言葉を覚えておいた方が便利でしょう?どこにいるかわからないのだし」

「またそのようなことを!姫を王宮外へお連れすることはできません」

「私は真剣よカシェルダ!見てなさいな。今日にも城壁よじ登って都を出てみせるわ!」

「サフィーア姫!!本気で怒りますよ!」

カシェルダの怒りの本気モードは百戦錬磨の軍人ですら震え上がるほどに怖い。

けれど普段、彼の甘い面しか見ることのないサフィーアにはそんな脅しも通じなかった。

「カシェルダなんか怖くないもん」

「……言いましたね?後悔しますよ、サフィーア姫」


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