砂漠の夜の幻想奇談
彼の瞳が妖しくキラーンと輝いた…ように見えた。
(あ、れ…?私まさか、墓穴ほった?)
カシェルダの怒りプラスお仕置きモードに早くも後悔し始めた時、中庭に笑い声が響いた。
「ハハハ!姫は威勢がいいな。まあ、そこがまた可愛いのだが」
低い男性の声。
「誰だ!?」
カシェルダが反射的に剣を抜き、声の主に向き直る。
「物騒なものはしまってくれないか。俺は争いが嫌いでな」
そこにいたのは、ターバンこそ巻いていないが、イスラム教徒を思わせる服装をした背の高い黒髪の男性だった。
「貴様どうやって王宮に侵入した!」
カシェルダが剣の切っ先を突き付ける。
「普通に入っただけだ。門からな」
(あら?この声、どこかで…)
サフィーアは聞き覚えのある男性の声に、記憶を探ってみた。