砂漠の夜の幻想奇談
苦笑しつつ彼は寝台に腰かけた。
「シャムスは本当に可愛い」
愛娘を抱き寄せて、その頬を触る。
「ええ」
「次は男の子がいいな」
シャールカーンの妖艶な流し目がサフィーアの瞳を捉えた。
「えっ…シャール?」
「また生んでくれるだろう?」
囁きながら迫れば、サフィーアは顔を真っ赤にさせて小さく頷いた。
「ありがとう」
触れるだけの口づけで幸せを確かめ合う。
その時だった。
「赦せぬ……」
嵐が、訪れた。
「赦せぬ赦せぬ赦せぬ!!!!!!!!」
突如、寝室に響いた怒鳴り声。
憎しみを孕んだようなそれは女性のものだった。
「な、何!?」
「誰だ!?姿を現せ!!」
怯えるシャムスをサフィーアに預け、すかさずシャールカーンが腰の三日月刀を抜く。