砂漠の夜の幻想奇談
「ふむ……なんだ。そんなことか」
意外だったと言わんばかりにダハナシュは瞬きを繰り返す。
「なら、俺が願おうか」
言ってからダハナシュは大声でもう一人の魔神に呼び掛けた。
「マイムーナ!!いるんだろう?話がある」
すると、どこからともなく魔神の女王マイムーナが現れた。
「喧しいわダハナシュ!何用だ?くだらないことならばその首もいでやろうぞ」
おお怖い、などと言いつつダハナシュはニヤニヤ笑顔を崩さない。
「実はな、消えたサフィーア姫を復活させて欲しいんだ」
「ハッ!誰がお前の願いなど…」
「保留にしていた願い事、今使おう」
サフィーアとシャールカーンが出会った夜の、魔神の賭け。
勝利したダハナシュは、あれから今までマイムーナに願いを言っていなかった。
「一つだけ願いを叶えてくれるんだろう?まさか約束を破らないよな?魔神の女王ともあろうお方が」