黒アゲハ

バイトの帰り道、時間は深夜3時頃だっただろうか。 華を拾ったさくらの木の下に人影が見えた。真っ暗闇の中、月明かりだけがさくらに反射してさくらは薄く淡く光っていた。人影は木の下でうずくまってるように見えた。怖い気もしたがナゼか何かに惹かれるようにボクはゆっくり近づいていった。近づいていくにつれその人影が女性である事がわかってきた。 パキッと小枝を踏んでしまいその人影はバッと振り返り「誰?!」と声を上げる。 「えっと、えっとボクは、怪しいもんぢゃなくて~えっと林ってゆう名前なんだけど…」 カッコ悪りぃぐらいアタフタしてると「ハハッ!悪い人ぢゃなさそうだね?アタシは『ハナ』です。」 「ハナ?!ボクんちの犬だぁ~」そう言いながらボクはハナさんから少し離れた場所にしゃがんだ。 「ハナさんはこんな時間に何してんの?危ないよ?」 「ハハハッ だよね~。 今日は飼ってた犬の命日なんだぁ。妊娠してたんだけど去年病気で死んぢゃってさ~ココに埋めたんだよ…」 そう言ってハナさんは静かに手を合わせる。
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