黒アゲハ

もう外は朝日がのぼり始めている。朝日を浴びながらハナさんと飲む夜明けのブラックコーヒー‥時間がゆっくりと動いていた。
「キミさぁ名前なんだっけ?」 「サクヤです。」 「ぢゃあサッチャンにしよ~」 「ベタだなぁ~(笑)」 「いいのいいの!! サッチャン彼女いるの?」 「えっ!?いないっすよ~!」 「…アタシね~ダンナがいるよ。…ハハッ」 ボクは黙ってしまった。ハナさんはマシンガンのように話し始めた。
「暴力が凄くてさ、最初はそんなんぢゃなかったんだよ?優しくて‥アタシも普通に主婦してた。でも働かなくなってギャンブルで借金まで作って挙げ句の果てには『オマエ風俗行け!』って店まで決めてきてさ‥ 凄く嫌だったケドダンナの事大好きだったし言いなりになっちゃった‥毎日毎日働いて、仕事がスゴイ嫌で毎日吐いて、それでも殴られて‥もういい加減体が限界きちゃって一週間前家出したの。それからずっとホテル暮らしだよ…」 話し終わる頃にはハナさんは枕に顔をうずめていた。きっと泣いている―
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