黒アゲハ


さっちゃんはICUに居た。点滴や酸素のチューブ、たくさんの管がさっちゃんに繋がってる。

涙が止まらない…まださっちゃんと何の思い出も作ってないのに‥ 死なないで‥アタシを一人にしないで‥

さっちゃんの手を握りしめても、さっちゃんは握り返してくれない。 それでもいいの‥ さっちゃん、生きていてね‥ もし、さっちゃんが死んだらアタシ 迷わず後を追うからね…





さっちゃんは生き続けた。医師に宣告されたヤマも越え、眠り続けて二週間が経つ。

アタシはまた夜の仕事を始めた。 入院費やこれからの生活の為に‥ 昼間は毎日病院に通ってさっちゃんに話し掛け続けた。


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