人魚姫の罪
冷たくて白くて、細くて、透き通った肌。

でもかたかたと震えていた。
彼女は笑っていた。
「本当に偶然。こんなところで会うなんて。」
初めて間近でみた彼女はとてもとてもきれいだった。
彼女の赤い目をみた時、俺のせいだと気づいた。

そして俺は生まれて初めて一目惚れというものをした。
「もうお店、入りにくいでしょ?」
「うん」
「じゃぁ、帰ったら?あたしが代わりにお金払っといてあげる。バッグないけどお財布は?」
と、俺の身のあたりを眺める。
「あ、晋也ってやつがね、おごってくれるの。」
「そっかぁ~、てゆうかお兄さん、どこに住んでるの?」
「A町だよ」
「うそ、あたしも~」

恥ずかしくて見つめられるといてもたってもいられなくなる。
あのときかいだ甘い匂いが鼻をくすぐった。

「お兄さん、かっこよかったよ。あの怖い人、やっつけたね」

「やっつけたってゆうか、キレただけだよ」

「えぇー、びっくりしちゃったよ。あの女の人のがびっくりしちゃったけどね」

そういうとまたふふっと笑った。
笑った顔はまるで猫みたいだった。
泣かせたのは俺なのに。
「お兄さん何歳?」

「21だよ。君は?」

「あたし18歳。A町の女子大生。短期大学だけどねっ」

と、なぜか自慢げにあごを突き上げた。
「へぇ、じゃあ保育士になるんだ」
「うん、お兄さんは?」
「俺は大学出たら漁師になろうと思って。」
「大学行く意味あるの?」

と、物珍しそうだった。

「あ、行かなきゃ!じゃあねお兄さん!」

そう行って立ち上がった彼女を俺はいつのまにか手をつかんでいた。
「お兄さん?」
小さな声がまた心臓を動かした。
びっくりして目をまんまるくしている。

言葉につまってやっと出た言葉が

「名前なに?」だった。

でも彼女はにっこりほほえんで


「如月海だよ」
首をかしげた可愛いアクションをし、店に入っていった。




コレが海と俺の2度目だった。
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