マサハルさん
「アキラ、飯、作るか」
「今日はマサハルさんの当番だよ」
「そうか……」
「バンバンジーはもう飽きたよ」
「そうか……」
「マサハルさん……ありがとう……でも……」
僕はそう語尾を濁し、マサハルさんに目で合図した。
どうしようもない事情、どうにもならない関係、そういうものにハナを巻き込みたくない。
それを対処しなければならない人間が、相対する権利を持つものだけが、巻き込まれる義務。
それを課すには、ハナはまだ小さすぎる。
マサハルさんは気づいてくれたのか、一瞬、はっとしたような顔をしたが、普段のマサハルさんとは違い、僕が思ってもいないようなことを言った。