マサハルさん

「アキラ、飯、作るか」

「今日はマサハルさんの当番だよ」

「そうか……」

「バンバンジーはもう飽きたよ」

「そうか……」

「マサハルさん……ありがとう……でも……」


僕はそう語尾を濁し、マサハルさんに目で合図した。

どうしようもない事情、どうにもならない関係、そういうものにハナを巻き込みたくない。

それを対処しなければならない人間が、相対する権利を持つものだけが、巻き込まれる義務。

それを課すには、ハナはまだ小さすぎる。

マサハルさんは気づいてくれたのか、一瞬、はっとしたような顔をしたが、普段のマサハルさんとは違い、僕が思ってもいないようなことを言った。


< 77 / 181 >

この作品をシェア

pagetop