モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜


「…それにしてもメリッサ、
あなた、モルゲンロート伯爵のこと…その…。」

あんな状態でも庇うなんて、もしかして…。

「えー?あぁ、うん。だってぇ、
ノークス様ってとっても羽振りのいい
お客様だから、逃がしたらシプレに
怒られちゃうでしょー?
あんなシスターより、シプレが
本気で怒るほうがあたしよっぽど怖いものぉ。」

ローラの期待とはほど遠いメリッサの答えに、
思わず肩が下がる。

「…そうでした…。そうですよね、
あなたってシプレさんが一番大事ですもんね…。」

「そうそう。表立ってはそういうことに
しておいてぇ?」

「え…?」

今、なんて…と問いかけたローラに、
しかしメリッサはひとさし指を唇に当て、
ふふっと怪しげな笑みで受け流した。


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