モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜
「…朔の余計なひと言のおかげなのが気にくわないけど、機嫌が直ったのはよかったよ。」
「…ごめんなさい…。」
顔を赤らめたまま、凍夜に抱きしめられおとなしく素直に謝る姫乃のなかで、唐突に何か直感のようなものが働いた。
「…。あの、凍夜…?」
「何。」
「…あの…念の為、きくんだけど…何か、たくらんで、ない…?」
姫乃にとことん甘い凍夜だが、ただ甘いだけではないことを姫乃は知っている。
愛想を尽かされてないとわかって落ち着いてくれば、東雲が一緒にいないことや凍夜がいやに大人しいことが気になり始じめて、姫乃はおそるおそる凍夜を見た。
「…。機嫌をなおすの、少し遅かったね。」
「!?きゃっ…。…。」
凍夜の囁きと共に、首筋に軽い痛みが走った。
とたんに、目の前がぐるりと回って姫乃は膝をつく。
全身がふわふわとして気持ちがいい。
覚えのある感覚にとまりそうな思考を必死にめぐらす。
これは、吸血鬼が獲物に施す麻酔だ。
そう気付いたが、姫乃にはもう、どうすることもできなかった。
心地いい浮遊感が、姫乃の意識を目の前から遠ざける。
次に意識が戻ったとき、姫乃は自分の部屋にはいなかった。
「…ごめんなさい…。」
顔を赤らめたまま、凍夜に抱きしめられおとなしく素直に謝る姫乃のなかで、唐突に何か直感のようなものが働いた。
「…。あの、凍夜…?」
「何。」
「…あの…念の為、きくんだけど…何か、たくらんで、ない…?」
姫乃にとことん甘い凍夜だが、ただ甘いだけではないことを姫乃は知っている。
愛想を尽かされてないとわかって落ち着いてくれば、東雲が一緒にいないことや凍夜がいやに大人しいことが気になり始じめて、姫乃はおそるおそる凍夜を見た。
「…。機嫌をなおすの、少し遅かったね。」
「!?きゃっ…。…。」
凍夜の囁きと共に、首筋に軽い痛みが走った。
とたんに、目の前がぐるりと回って姫乃は膝をつく。
全身がふわふわとして気持ちがいい。
覚えのある感覚にとまりそうな思考を必死にめぐらす。
これは、吸血鬼が獲物に施す麻酔だ。
そう気付いたが、姫乃にはもう、どうすることもできなかった。
心地いい浮遊感が、姫乃の意識を目の前から遠ざける。
次に意識が戻ったとき、姫乃は自分の部屋にはいなかった。
