はじめての恋
「やっぱり、真美には残ってて貰った方がいいんじゃない?もし、本当にそうなら…」
母が父に言う。
「まだ決まったわけじゃない。親が諦めてどうするんだ。あの子は親父とは違うんだから。な?」
父はそう宥めるが、母は俯いて首をふる。
「だけど、もしそうだったら?そういうことも考えておかないと」
母の言葉に父は黙った。
母の気持ちは分かっていた。
父も本当は同じように不安だった。
死んでいった父のことを思い出す。
違う。違う。
真美は大丈夫。
そう、願った。