はじめての恋
「湯川くん?」
なぜか声をかけてしまった。
湯川くんは私を見て、「あ」と声を出す。
「な、なんかよく会うね?」
と、笑いながら言う私。
自分でもびっくりした。
声をかけるつもりなんてなかったのに。
「うん。名前吉田って言うんだ?」
「あ、うん、吉田!」
「あれ?橋本とは中学んときから?」
と、えりを指差して聞いてくる。
「うん、そうだよ〜!湯川くんとえりは?」
どういう知り合いなんだろう?
「俺、サッカーしてて、中学ん時にサッカー習ってて外で。そこに橋本のお兄さんがいたんだよ。俺橋本先輩とは仲良くさせてもらってて、試合ん時家族が応援きてて、その時あいつもいたんだよ。そんなん」
あーそういうこと!納得。
確かえりのお兄さんサッカーしてたもんね。
「湯川くん、高校でもサッカーするの?」
という私の質問に湯川くんは顔を机に伏せた。
「やらねぇ」
なぜかそれ以上聞いちゃいけないような気がしたから黙った。