【完】泣き顔スマイル
マルと色々あったことなど知らない美香さんは『今度は3人で会おうね』なんて言っては笑顔を向ける。
俺はそれを曖昧に受け流しては美香さんに軽く頭を下げた。
「今日ありがと。
少しでも話できて良かった」
「私も。モモちゃんにもよろしくね。意地悪なこと言っちゃったから代わりに謝っておいて」
じゃ、なんて言ってあっさり背中を見せる美香さん。意外と執着心が薄いところも昔のままだと思った。
改札を通り、ホームに降り立つ。
“私ね、修ちゃんが好きだよ”
“行って、美香さんのところに”
一人でボーッとしていると
嫌でも思い出してしまう。
マルの、震えた声。
今にも泣きそうな顔だったのに、結局最後まで泣いていなかった。
そこにマルの決心を感じ
やるせない気持ちになる。